2009年6月14日

三沢光晴

プロレス団体ノアの社長であり、トップレスラーでもある三沢光晴さんが、試合中の事故で亡くなりました。ご冥福をお祈りします。
ノアのプロレス…いや三沢や川田らが作り上げた王道のプロレスは、相手のどんな危険な技でもきっちりと受けきることで、プロレスに有無を言わせぬ説得力を持たせてきた。八百長だとか、ショーだとか、そんな口さがないことを言うプロレスを知らない人たちをも黙らせるその説得力で、「ノアだけはガチ」という都市伝説まで生み出したのだ。もちろん、高い技術的な裏付けとたゆまぬ努力があればこその「受けの美学」であることは、言うまでもない。
皮肉なことに、そのプロレスを作り上げ、長年体現し続けてきた男に、事故が起こってしまった。体調や安全の管理不徹底であったとは思いたくない。勝負事には、どんなに安全管理をしても起こってしまう事故がある。ボクシングなどの格闘技だけでなく、競馬や競艇などの公営競技、そして高校野球でさえも、毎年のように不幸な事故は起こっている。そのうちのひとつが昨日、プロレス界を最前線で引っ張ってきた男に、たまたま起こってしまったのだと考えたい。
日本のプロレスは、世界的にも稀有なエンターテインメントだ。力道山、馬場、猪木らから始まる日本プロレスの許容力は、半端なものではない。政治もスポーツもお笑いもグラビアもゴシップも芸術も…そういったものは全部飲み込んでしまう。今回の不幸な事故をも飲み込んでしまうのが、日本プロレスだ。だから、斉藤彰俊選手には、“殺人バックドロップ”を武器にGHCヘビー級ベルトを目指してほしい。ノアの選手たちが、たとえ涙を流しながらでも戦い続けることを、誰もが望んでいると思う。

1 件のコメント:

Shu さんのコメント...

合掌。

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